【概要】

「関係人口」とは、移住した「定住人口」でもなく、観光に来た「交流人口」でもない、地域と多様に関わる人々を指す言葉です。地方圏は、人口減少や高齢化により、地域づくりの担い手不足という課題に直面していますが、こうした中、「関係人口」と呼ばれる地域外の人材が、地域づくりの新たな担い手となることが期待され始めています。
　2019年12月に公表された第2期「まち・ひと・しごと創生総合戦略」においては、「地方とのつながりを築き、地方に新しいひとの流れをつくる」という基本目標のもと、特定の地域に継続的に多様な形で関わる関係人口の創出・拡大を打ち出しています。2020年、国土交通省が実施した関係人口に係る全国規模のアンケートによれば、既に相当数の人々が関係人口として活動している実態が浮かび上がりました。総務省でも、関係人口に期待し、関係人口創出・拡大事業に取り組んでいるところです。
　今回の中国地域白書は、「関係人口を探る」がテーマです。関係人口は近年注目を集めている概念ですが、まだ定義さえ明確でないのが実情です。本白書では、関係人口はどんな価値観を持った人たちなのか、どこから来ているのか、どんな活動をしているのかなど、関係人口の行動や心理などを分析し、行動科学的な側面からアプローチしたことが特徴の一つです。また、関係人口を受け入れる中国地域の自治体の実態についても調査しています。地域を助けたい関係人口と、地域づくりに取り組む人が欲しい自治体の両面からアプローチすることにより、今後の関係人口の可能性や自治体の課題も浮き彫りになってきました。

『中国地域白書2021　関係人口を探る －中国地域の次世代のために－』概要