情報発信・啓発事業

刊行物

季刊「中国創研」

中国地方産業史-素材産業型製造業- 概要版

NO
No.108
刊行年月
2026年3月
頒価
1,320円(税込)
在庫
あり

【概要】

当研究センターでは中国地方5県の産業の成り立ちや、主要企業の立地・発展について調査を進め、「地域産業発展史」として各県別に刊行してきた。このたび、その調査内容を基に産業別に「中国地方産業史」として再構成し、手始めとして「基礎素材型製造業(鉄鋼業、化学工業、製紙業、窯業・土石業)」について取りまとめた。本号では、その概要を「中国地方産業史-基礎素材型製造業編-概要版」として紹介する。
 内容としては、中国地方における基礎素材型製造業の歩みを、県境を越えて俯瞰し、現在の産業構造を理解するための歴史的文脈を提供するものである。今日では、立地やサプライチェーン、企業誘致に関する分析は豊富である。しかし、「なぜここに集積し、いかに競争力を形成・維持し、どこに脆弱性を抱えたのか」は、形成過程と経路依存をたどらなければ十分には解明できない。歴史を照らすことは、過去の制約と蓄積を可視化し、将来の選択肢を現実的に絞り込む作業でもある。
 中国地方の素材産業は、瀬戸内海という内海航路(海上交通)、砂鉄・石灰石・粘土・良質な水や森林といった資源、港湾・鉄道・河川の結節点、さらには軍需・復興・高度成長といった政策的要請が重なって展開してきた。鉄鋼業は、山陰側ではたたら製鉄を起点とする系譜を引き継ぎ、山陽側では臨海部の一貫拠点を核に、造船・自動車・機械と結合して高度化を遂げた。化学工業は水島・周南・岩国大竹等のコンビナートを中心に、原料・副生品の融通や共同インフラをてことして価値連鎖を拡大した。製紙業は水系・木材流通・電力を背景にパルプ一貫体制を築き、再生資源の高度活用を進めるとともに、環境規制への対応が競争条件となっている。窯業・土石業はセメント・耐火物・ガラス・陶磁器・瓦等、多様な系譜を持ち、建設業・鉄鋼業・化学工業との関わりを深め、地域の生産基盤を支えてきた。県をまたぐ供給網と技術交流は、この地域の大きな特色である。
 一方、オイルショック、円高、グローバル競争、少子高齢化、環境規制の強化は、撤退・統合・高付加価値化を促し、装置の集約と企業連携の深化をもたらした。21世紀に入り、脱炭素・資源循環・デジタル化が素材産業の前提を書き換えつつあり、省エネルギーやプロセス革新、循環原料の組み込み、サプライチェーンの可視化が新たな競争条件となっている。本書は、こうした長期変化を「資源・立地」「装置・技術」「市場・制度」といった視点から再構成し、各県の固有性と広域的な連関を併置して描くことを意図している。
 本書の目的は三つである。第一に、地域の素材産業を俯瞰する見取り図を提供し、企業戦略・政策立案・教育の共通基盤とすること。第二に、設備と技能の蓄積の来歴を可視化し、再編や更新に歴史的な物差しを与えること。第三に、産業遺産と現在の生産現場を同じ視座で捉え直し、次世代の学びと誇りへ橋渡しすることである。
 皆さまが本書を手がかりに、自らの地域の工場の灯火や技術者の手わざを思い描き、将来に向けた対話を始めていただく一助となれば幸いである。

【目次】

序 章 社会経済情勢と産業構造変化
第1章 鉄鋼業
第2章 化学工業
第3章 製紙業
第4章 窯業・土石業

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